人工赤血球は古くから世界中で研究開発されてきました。赤血球の主たる機能は酸素を肺から全身に運ぶことです。開発において、、この酸素運搬体として完全な人工合成物を用いる方向性と動物由来の酸素運搬体であるヘモグロビン（Hb）を用いる方向性がありましたが、人工合成物は実用化試験で副作用が大きく、現在では忌避されています。Hbを用いる場合でも、そのまま血中に注入されると種々の副作用を引き起こすことが知られており、如何にHbを包み込むかが開発のポイントでした。ここでも方向性は二つあり、Hb分子を他の高分子で包み込む考え方とHb溶液を膜で包み込む考え方に分かれます。
弊社が選択した人工赤血球は、動物の赤血球からHbを分離精製して、これを脂質二重膜で包み込んだリポソーム型です。この技術は、早稲田大学で開発がスタートし奈良県立医科大学に引き継がれています。奈良県立医科大学ではヒト用人工赤血球（ヒトHbを用いる）として研究が継続されています。弊社が基本特許を所有し、動物領域での実用化を目指しています。
弊社の計画しているペット用人工赤血球の実用化では、ウシ血液から分離精製したHbを原料として用います。動物用の臨床使用には、臨床研究を経て農林水産省の承認が必要です。これまでの開発においてヒト用人工赤血球（ヒトHb）の開発のために実施されてきた多くの動物試験の実績を元に、当社では動物用としての臨床研究を準備中です。
知財状況： 製造方法に関する基本特許を所有
共同開発： 製造技術、臨床応用等について、奈良県立医科大学（酒井宏水教授）と共同研究